大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)418号 判決

被告人 渡辺末吉

〔抄 録〕

被告人主張の論旨中には、原審が採証の用に供した証人O(刑事)の証言の内容を攻撃し且同証人は被告人が本件犯罪を犯すに先立ち窃盗の未遂行為を犯したのを現認しながら検挙しなかつたのであるから司法警察職員としての職務遂行に欠けるところがあると非難する箇処があるが、司法警察職員が犯罪の捜査をするに当つて未遂犯と認めて差支えないような場合があつても、一旦は之を看過し間違のない既遂の現場を押え逮捕するという場合には証拠蒐集の見地からいつて是認さるべき場合が多いであらうし、本件の如きも判示犯行に先立つて被告人に掏摸の現行と認むべき怪しい挙動があつたけれども司法警察職員は確実な証拠を得るという見地から一旦は被告人を見逃したものと認められるから其の職務執行の態度に何等非難すべき点はないのみならず其の他本件逮捕当時の状況について疑をさしはさむべき余地はないから原審が右証人の証言を採証の用に供したことについては何等の瑕疵はない。

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